ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんのお悩み相談。今回は仕事をしながら3人の子供を育てる女性。14年間、家事をサポートしてくれた姑の来訪が苦痛に。上田さんは「子供の家事手伝い」と「犬」がカギを握ると回答。そのワケは?

悩み:仕事と家事の両立を14年間支えてくれた義母との関係に悩んでいます。毎週1回、5000円を払ってサポートに来てもらっていましたが、正直、もう来てほしくありません。大変感謝をしていますが、私の残業を嫌う義母に対する精神的な負担が大きく、辛いです。どうしたらいいでしょうか。

 3人の子供の子育てと仕事の両立を14年間支えてくれた義母についてです。子供が大きくなり義母のサポートが不要になってきて、これからの関わり方について悩んでいます。主人にも誰にも相談できず、よろしくお願いします。

 メーカー正社員としてフルタイムで勤務し、14歳、11歳、9歳の子供を育てています。育児休業の計5年間を除いて、義母に毎週一泊、5000円を支払ってサポートに来てもらっていました。主人が早く帰れない仕事だったこともあり、子供が小さい時は幼稚園の迎えや子供の話し相手などとして、義母なしでは仕事と子育ての両立はできない生活でした。これまでのサポートをとても感謝しています。

 ただ、一番下が小学3年生になり、子供たちが自分で様々なことをできるようになった今、家事が苦手な義母の活躍の場が少なくなりました。私の残業を嫌う義母がいる日は夜7時半までには急いで帰宅せねばならないのも苦痛で、最近は義母に来てもらうことが負担になってきました。半年前からは隔週の来訪に減らしてもらいました。

 私としては、もう来訪は断りたいのです。でも子供たちは祖母が大好きで、主人も嬉しそうですし、義母も義父と2人の生活だけでは楽しくなく、できる限り来たいようです。3年前から私の残業が月50時間を超えるようになり、子供たちを8時頃まで待たせることが多く、子供たちの寂しい思いを緩和してくれる意味では、まだまだ来てもらう価値はあります。

 でも私の負担としては、義母への月1万円を家事サポートに回したほうが軽くなるのに……と悩んでいます。どうしたらいいのか、アドバイスをください。

(46歳 女性 会社員)

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)
1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)

大竹剛(日経ビジネス 編集): 以前にも似た相談がありましたね(参照:「義理の両親が毎週末やってくるのが苦痛です」)。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):ここで言っている家事サポートというのは、お手伝いさんに来てもらうということかな。

大竹:そうだと思います。彼女としてはそのほうが、義理の母を気にして急いで帰ってくる必要もなくなるなど、精神的な負担も軽くなるということなのでしょう。

上田:だけど一方で、残業時間が50時間超えるようになって、子供たちを8時まで待たせるので、義母に来てもらえば子供たちの寂しい思いを緩和してもらえるとも言っているよね。

 そんないいとこ取りはできないんじゃないかな。誰の気持ちを大事にしたいのか、子供やご主人の気持ちなのか、自分の気持なのか、全部がうまくいくというのは、難しいんじゃないのかな。

 従って、まず、7時半には急いで帰宅せねばならないのが苦痛で、そこから逃れたいというのであれば、お母様にはもう、「今まで大変お世話になりましたけれども、これからはお手伝いはなしにしてください」と言うしかない。これは、ご主人にもはっきりとね。ご主人は来てもらったほうがいいなんて思っているかもしれないから。

家事は子供に分担させよう

大竹:ご主人にはなんて言ったらいいでしょうか。

上田:「私は来てもらったら非常に心身ともにくたびれます。2〜3カ月に1回程度、遊びに来られるというのでしたら来ていただくのは大歓迎ですが、毎月来られるというのは心身くたびれます」と。

 ご主人はどんな仕事なんだろうね。

大竹:早く帰れない仕事だったと言っているので、引き続き忙しいのではないでしょうか。

上田:子供たちは自分のことは自分でできるようになってきたと言っていたね。だったら、家事を子供3人で分担してやったらいい。14歳、11歳、9歳。もうかなりできるはずだよ。今日は太郎が夕食の用意、来週は二郎が、といった具合だ(笑)。

大竹:そうすれば、もうそれで義理のお母さんに「来なくても大丈夫です」という理由にできる。なるほど。もしくは、来てもらう場合も、その目的を変えると。子供たちの世話ではなく……。

上田:遊びに来てもらうんだ。そういうことなら、2〜3カ月に一度ぐらいでいいでしょうと。「家事は子供も含めて家族全員で分担するので、お母さんは時々、遊びに来ていただくだけで大丈夫です。子供たちとも話して、それがいいのではと考えました」と。

 これくらいの年代の子供だったら、かえって「はい」と言って家事を手伝うよ。太郎が夕食、お風呂と床掃除は二郎、花子はスーパーで買い物、どうしても間に合わないときにはファミリーマートへ買いに行ってほしいけどね(笑)。

大竹:何だか家族の一体感が増しそうです。そもそも、義理の母は家事が苦手だということで、最近は義理の母が活躍する機会が減っているとも言っていますね。

上田:ようするに、義母は子供の安否の確認や遊び相手に来ていた程度なのかもしれない。もしかしたら、食事の準備も義母はやらず、この方がやっていたのかもしれないよ。

 子供たちは、これくらいの年齢になれば、寂しさというのもあまりないでしょう。3人いるのなら、なおさらだ。むしろ、自分が今週は何の当番かとか、家事を3人で回し始めると、寂しさもなくなるんだ。

大竹:むしろ、一番上の子とかは親がいないほうが伸び伸びとするかもしれません。

上田:僕だって14歳といったら、もうとにかく親のいないところに行きたいと思っていたからね。

 だからこそ、子供たちは家の手伝いというのを絶対に嫌がりませんよ。逆に進んでやるはずです。それで自由を得ることができるならと思ってね。まあ、子供ながらも、家の手伝いをしていると「やりがい」が芽生えてくるんだよ。

大竹:今、義母には隔週で来てもらっているようです。

上田:これはもう、事実上、お母さんに対するこのご家庭からのお小遣いなんだよ。月1万円仕送りしているようなものです。ついでに楽しみながら来るということで。

大竹:私の残業を嫌う義母がいる日は、急いで帰らないといけない、と書いていますが、このお母さんに「私は忙しくて残業をするんだ」ということを認めさせることはできないでしょうか。

上田:それもはっきり言う必要があるわけね。

大竹:小言を言わせないようにできれば、来てもらってもあまり嫌な気もしないのでは。

上田:もうね、とにかく来てほしくないという気持ちのほうが強いわけ。わかりやすく言えば、嫌なんだ。

 月50時間の残業となると、毎日2時間半ぐらい残業しているんじゃないの。となると、帰りは恒常的に8時くらいになるよ。

 そうすると、彼女が8時ぐらいに帰ってすぐ夕食となると、やっぱり子供たちの手伝いが必要だ。少なくとも、食材だけは揃っている必要がある。今日はタラコとシャケの切り身。スーパーに行ったら一切れ100円だから、5人分だから500円とか。

 僕は子供の頃、よくそれをやらされていたんだ。嫌じゃなかったね、全然。

老夫婦の寂しさは犬が癒やす

大竹:ただ、子供たちは祖母が大好きで、主人もうれしそうにしているとなると、なかなか言い出しにくいでしょう。

上田:だけど、やっぱり自分の思いをきっちりと母親、それから夫に伝え、じゃあ、どうするのかということをしっかり言わないと。

 ご両親がうちに遊びに来られるというのは歓迎しますけれども、今までみたいな関係での手伝い、面倒を見に来るということは、もうこれからはやっていただかないほうがいい、とはっきりね。

 むしろ、夫婦で子供を連れて、義母のところに遊びに行くくらいでもいいんじゃないかな。それでも、義両親が寂しそうだということなら、小さい犬でもプレゼントしたらどうだろうか。

大竹:なるほど。犬の世話をするようになると、むしろ義両親のほうから「犬の世話があるから行けない」となるかもしれない。

上田:ただ、老夫婦は犬をなかなか飼いづらいという現実もあるんだよ。

 例えば70過ぎ、80過ぎになって犬を飼うと、自分たちの余命より犬のほうが長くなる可能性が高いわけだよ。「自分たちが死んだら、その犬はどうなるんだ」と心配なんだな。老夫婦は。僕も70を超えたから、その気持ちはよく分かる。

大竹:本人たちは、なかなか決断できないわけですね。

上田:そう。だからこそ、というか、この方が「大丈夫ですよ。何かあってもし犬だけ残ってしまっても、私たちがその後、しっかり面倒を見ますから」と約束すれば、義両親も安心する。

 余談だけど、老夫婦が亡くなったあとのペットの面倒をみるサービスがあれば、大きな需要があると思うんだよね。80歳でも、安心して犬を買えます、という。

大竹:いいですね、上田さん。起業しましょう(笑)。

上田:何で気付いたかというと、僕たちの世代は、50~60代のころに犬を買い始めた人が周りに多かったんだよ。だけど最近、そういう人たちの犬が結構亡くなるんだ。うちも17年もいた犬が死んじゃったんだけどね。

大竹:17年ですが。大往生ですね。

上田:それでまた飼おうかと女房に言ったら、女房は絶対に反対なんだよ。私たちが死んだ後はどうなるんだ、ってやっぱり言うわけ。隣近所もそう言っていると。私たちが死んだ後どうするのよと。

 だから、この方も犬をプレゼントすると言ったときに、義両親がそういう反応をしてきたら、「私たち面倒を見ますから大丈夫です」と念を押すんです。月に2回、孫の顔を数時間見に来るよりも、義両親にとっても犬の世話をしていたほうが寂しくないと思う。

大竹:思わぬ方向に話題が展開しました。今回の悩みへの回答は、「犬をプレゼントしろ」ですか。

上田:犬をプレゼントしなさい。

大竹:夫婦で犬の散歩にも行くでしょうし、健康にもよさそうです。

 ちなみに、上田さんのご自宅ではもう飼わないんですか。

上田:今は飼ってない。そうしたら息子がうちの女房に、「お母さん、大丈夫だよ。死んだ後の犬の面倒は俺が見てやるから」と言ったんだ。そしたら今、女房はその気になり始めている(笑)。

大竹:上田さんの奥さんがそういう気持ちになるのなら、たぶん、この方の義両親もきっと同じかもしれません。

 ただ、すでに飼っていたらどうしましょう。

上田:そうしたらもう一匹、「今度は猫はどうですか」と……。

読者の皆様から、上田さんに聞いてほしいお悩みを募集しています。仕事、家庭、恋愛、趣味など、相談の内容は問いません。ご自由にお寄せください。

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