Jリーグ「eスポーツ」参入 サイバー系や吉本興業も
Jリーグは9日、ゲーム対戦競技「eスポーツ」のサッカーゲーム大会を開くと発表した。国際サッカー連盟(FIFA)主催のeスポーツ大会の予選も兼ねており、優勝者は世界大会に出場できる。国内ではeスポーツの普及が海外に比べ遅れていたが、2月にプロライセンス制度が導入され、注目を集めている。ゲーム会社以外の異業種の参入も相次いでいる。
サッカーゲームの参加者を募集
「eスポーツは年齢や性別、身体障害などにかかわらず参加できる。eスポーツを一つの柱としてチャレンジすることを決めた」。9日開かれた記者会見でJリーグの村井満チェアマンは参入について説明した。「リアルのサッカー好きがeスポーツに関心を持つことや、ゲームでサッカーの魅力に気づく子供が出てくることを期待している」(村井チェアマン)
「明治安田生命 eJ.LEAGUE」を30日から始める。米エレクトロニック・アーツのサッカーゲーム「EA SPORTS FIFA 18」の大会を開く。Jリーグとタイトルパートナー契約を結ぶ明治安田生命保険がタイトルパートナーとして協賛する。
10日から参加者を募集し、4月までオンラインで予選を開く。予選を通過した一般の参加者と、サッカーのJ1クラブ15チームが推薦するゲーマーなどが5月4日に日本サッカーミュージアム(東京・文京)で開かれる決勝に参加できる。決勝大会で優勝するとFIFAが主催する「FIFA eワールドカップ 2018」の世界予選に出場できる。国内大会での賞金や、今後eスポーツ大会を継続的に開催するかどうかについては検討中という。
吉本興業やサイバーも相次ぎ
9日にはサイバーエージェント子会社のサイバーゼット(東京・渋谷)はサイゲームス(東京・渋谷)やエイベックス・エンタテインメントなどと「eスポーツ」のプロリーグを5月から始めると発表した。リーグに所属する4つのプロチームはKDDI(au)やサッポロビールなどがスポンサーとなり、プロゲーマーに月30万円の報酬を支払う。リーグはチームに対し、成果に応じて2000万円を1年間で拠出する。
吉本興業も7日、eスポーツ事業の参入を発表。プロチームを運営するほか、eスポーツの大会やイベントを開催する。同社に所属するタレントをプロゲーマーとして契約。スポーツ選手のマネジメントや劇場運営、番組制作で培ったノウハウをeスポーツビジネスに生かす。
米調査会社のスーパーデータリサーチとカドカワによると、16年の世界のeスポーツ市場は8億9200万ドルで、約7割がスポンサー・広告収入だという。プロゲーマーやチームのスポンサーとしてユニホームに企業のロゴを入れたり、大会のスポンサーとして広告を出したりするビジネスモデルが確立している。国内でもゲーム業界外からの参入が広がればビジネスとして普及する可能性もある。
(桜井芳野)